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「姉小路界隈を考える会」のこれまでの10年


1.姉小路界隈の紹介
 江戸日本橋を起点として東海道五十三次は京の三条大橋に至る。さらに10分ばかり歩むと私たちのまち姉小路通となる。ここは京都市の中心部の中京区の東部に位置し、繁華街に隣接する静かな街区である。姉小路通を中心に、東は寺町通から西の烏丸通までの東西約700m間、北は御池通から南は三条通までの南北約200mの範囲を「姉小路界隈」と呼びはじめて10年目。幅広い世代に認識が拡大しつつあるように思う。この姉小路界隈には明治以前から続く老舗、旧家が多く残っており、私の子供の頃からの家並みが50余年経った今もほぼ変わらない。これは確実に地域が繁盛している証であろう。事実、この地域では3世代(祖父母、息子夫婦、孫たち)でのお付き合いがごく当り前となっている。
家の軒上には北大路魯山人や富岡鉄斎等の書による木彫看板があり、日常風景としてさりげなく京都の文化的雰囲気をかもし出している。一帯は木造二階建ての町家が多く、職住共存もしくは職住近接といった使い方がなされており、茶道具販売や修理、表装、呉服等を生業としているお宅が多い。派手な色合いの看板や暖簾がないため、一見しただけではごくありふれた町家(しもた家)にしか見えない。本来、その奥に潜む歴史的な深さや、類いまれな芸、技術等が内蔵されているのである。これも又京都特有のミステリアウスな雰囲気をそなえた界隈なのである。

2.会の設立と当初目標
おおよそ10年前の平成7年4月、大阪ガスのグループ企業(株式会社アーバネックス)が、分譲型マンション建設計画を発表した。その場所というのは、ちびっ子広場を併設した賃貸ガレージとして使用されていた。突然の話であり、公益企業が自社の利益追求だけを最優先させたマンション計画には異論があるとして、近接住民が中心となり、近隣によびかけ「姉小路界隈を考える会」(市古和弘会長、正会員125世帯)を設立した。公益事業者の大阪ガスグループが建設するのであるなら、京都にふさわしい集合住宅のモデルになるような建物を作って欲しいと要望した。1年間ほどさまざまな反対運動の末、計画の白紙撤回という「成果」を上げた。
それから2年半後、都心部の商業地をいつまでも未利用にしておく理由もないので、京都市景観まちづくりセンターが仲介役となり、事業者と地元とが協議を再開することになった。今度は京都大学建築学科の高田光雄先生が座長となって「地域共生土地利用検討会」を発足させ、「土地活用法のアイデアを募集」することから始めて、地域の生業、地域の文化性、都心居住等をコンセプトとして勉強会をはじめた。検討の途中段階から建築家である現代計画研究所江川直樹氏も加わり、約2年間、17回の検討会を重ねた。
互いの努力の結果、当初計画の11階は8階、容積率400%から250%へダウンサイジングされ、分譲型から賃貸型へと大きく変更されることになった。この「アーバネックス三条」は単に小さくなったという以外に、100年間耐久を目指したスケルトン構造となっており、採光や通風への工夫、坪庭や町家をイメージした空間構成、屋上菜園や地域との交流スペース等もふんだんに取り入れたユニークな設計となっている。こうしたハード面に加え、事業者と地域が一緒になって取り組んだソフト面も大きく評価され、日本都市計画学会から「2002年度関西まちづくり賞」をいただき、地域の名誉になったと思っている。

3.姉小路界隈を考える会のその後の活動内容
 設立以来、マンション問題への取組みと平行して継続してきた活動をいくつか紹介する。

ヾ波弔了合うまちづくり
  戦前には京都の軒上に篆刻木彫看板が多数あったが、空襲時、非難通路確保のために看板を撤去するような指導がなされそのほとんどがとりはずされたと聞いている。更に戦後になって半世紀以上たった現在、市内の町家の多くが建て替えられ、看板も見られなくなった。しかし、ここ姉小路界隈には著名な書家の書体による木彫看板が数多く残存しており、その集積度は京都市内唯一と誇れる街角文化となっている。界隈に点在する老舗の著名な書家によるこれらの「看板」に着目し、「看板の似合うまちづくり」をすすめている。

灯りで結ぶ姉小路界隈
  大文字送り火を過ぎた夏の日、無病息災と町内安全を祈願する年中行事地蔵盆が京都のあちこちで行われる。当会では地蔵盆の夜に看板や町家をライトアップしまち全体の灯りを考えてきた。地域の幼稚園児、お年寄りや風流人の手による絵画を募集し、手作りの行灯550基を通りにならべ「灯りで結ぶ姉小路界隈」を演出している。夜には通を歩行者天国にして、街角コンサートを開催し、地域のママさんコーラスはじめクラシックや雅楽の演奏を行っており、今ではすっかり夏の夜の熱いイベントとして定着してきた。

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 界隈のみち空間についてのワークショップの結果を受け、界隈に似合うオリジナルの木製格子鉢を作成し、この鉢植えを姉小路通りにならべてもてなし、街を訪れる人を歓迎するよう努めている。これも平成10年以来継続しているイベントである。又「アーバネックス三条」の屋上菜園を利用させていただき、ここでマンションの新住民と地域の旧住民が一緒になって花の苗を育て、大きくなれば通りやマンションの玄関口に移植するような交流作業を通じて、「花と緑でもてなす姉小路界隈」を一層盛り上げている。

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  姉小路通の烏丸通から寺町までの約700mの区間は放置自転車が少なく、コンビニエンスストアもなく、何よりも分譲マンションが1棟も存在しない、京都市の中心部では稀な地域である。しかしその周囲には姉小路盆地のぎりぎりまでマンションが迫ってきている。当会設立以来、「アーバネックス三条」に続いて、2棟のマンション計画が持ち上がった。これらの計画に対し、当会は高さやデザインの対案模型を作り、京都祭地蔵盆といった公開会場で繰り返し展示し、様々な人達に関心を深めていただく機会を作ってきた。こうした努力に内外の専門家や学識者等から少なからぬ賛同をえた。例えば、京都市と姉妹都市ボストンのマサチューセッツ工科大学大学院建築学科の研究室。京都の将来、とりわけ姉小路界隈に集中して提言することとなり、約10日間ばかり滞在して、京都造形芸術大学大学院と共同調査し、2002年以来、毎夏に提言を発表している。今年は3年目の仕上げの年であり、どのような最終成果にまとめあげられるか楽しみにしている。その他に京都市内、他府県からの役人、学識者、文化人をはじめ多大学の学生のゼミにもフィールドを提供しており、将来の発展にむけて、互いに切磋琢磨しているところである。

4.町式目によるまちづくり

々掌融代の京の町
 江戸時代の町人は、狭義には家持(土地と家屋を所有している階層)を指し、町の代表者である町年寄は家持の中から入札(選挙)で選ばれ、町の運営は、基本的には家持層によって行われていた。京都のような大都市になると、現代都市と同じように清掃、防火、塵芥・屎尿処理等、さまざまな生活問題が発生する。しかし江戸時代には、現代の自治体行政のような公共事業によって問題を処理しようという考え方はなかった。そこで、身近な生活空間の管理はすべて町が責任をもつことになった。各町まちでは町の運営を円滑にするために、町式目と呼ばれる法律を制定しており、寛文六年(1665)の一札には「家屋敷を合併して一軒に建て直さないこと、表構えに障子や長暖簾を用いないこと、町並みに合わせて見世棚を設けること」を誓約している。良好な生活環境を保全するために、町家や町並み景観にも踏み込んで、自己規制、相互規制を働かせていたことがうかがえる。(大阪市立大学大学院谷直樹先生より引用)

∋仂路界隈町式目(平成版)の制定
 姉小路界隈には、 1635年から居を構えておられるお宅の蔵に江戸時代の町式目が残っており、式目の研究者である大阪市立大学谷直樹先生にお願いし、現代のまちづくりのヒントになるような知恵を見つけようと勉強会を開催した。平成の時代にも普遍性のあるルール作りを開始し、皆が集まって協議し、約1年かけて現代風にアレンジしたものが完成した。この式目の六ヶ条を木製看板に墨書でしたため、界隈3箇所に掲示している。この姉小路界隈町式目(平成版)制定と「アーバネックス三条」の竣工を祝うモニュメントを募集したところ、この場所が京都瓦斯事業発祥の地であることからガス灯を望む声が燃えあがり、「京都のまちづくりの希望の灯り」と命名してガス灯設置の運びとなった。この灯りを世界中の人々に見ていただきたいとの思いで、私達のホームページから生中継しているのでご覧いただきたい。

7築協定締結
  「住民が協力しあって美しい町をつくろう」という式目の基本理念をもとにして建築協定の素案作りにとりかかった。姉小路通の現況の最も高い建物はせいぜい高さ18m。界隈に住み続けている住民の多くはそんな高い建物をのぞんではいない。そんなわけで高さは18mとした。私達は夜は静かに眠りたいからコンビニは不用。オーナーが同居していないワンルームマンションも無用。もちろん風俗店やややこしい事務所もお断りという内容である。 平成14年3月26日、姉小路周辺13町内が「姉小路界隈町式目(平成版)」という建築協定申請書を京都市へ提出し、102人の同意(実印)をとりつけている。これは京都市中心部では最大規模(約2万屐砲任△蝓⊇嗣韻箸靴討梁腓な自信につながった。

5.今後の取り組み
  平成16年度より「姉小路界隈地区街なみ整備事業」として、町家の外観再生整備等に向こう10年間補助金をいただけることになった。補助に先立って、先述した「町式目」「建築協定」に加え「姉小路界隈地区まちづくり協定」をむすび、「姉小路界隈地区街なみ環境整備事業協議会」(井山吉良会長)が取り組むことになっている。活動を開始して10年目。まちづくりは本当に手間と時間がかかるものである。姉小路の現況については「バーチャルリアリティー」「都心界隈映像ニュース」をインターネット(http://ane.cup.com)に掲載しているので、日本人の心を感得できる数少ない都市、京都の将来にむけてのご意見をお寄せいただきたい。
又、当会のメンバーが主体となって平成15年3月に設立したNPO法人「都心界隈まちづくりネット」柊家旅館社長西村勝理事長)と共に、姉小路界隈に限定することなく、御池通シンボルロード等京都のまちづくりにも提言できればと考えている。 最後に、これらの運動の最大の支援者である国土交通省都市・地域整備局都市計画課課長補佐の岸田里佳子氏アルパック(地域計画建築研究所)