京の街角 姉小路界隈ヨリ 28号

京都市長 門川 大作氏 近影

巻頭言

景観まちづくりの先導的モデル地区「姉小路界隈」

京都市長 門川 大作

姉小路界隈を考える会が重ねてこられた、本当に素晴らしいお取組の数々。皆様の御活動に宿る「地域力」の凄さに、率直に感動しています。

昨夏も「姉小路行灯会」に参加させていただきました。あいにくの雨模様。でも、地蔵盆の夜を彩る姉小路通の両脇に並んだ行灯の明かりと、子どもからお年寄りまで地域の皆様の結びつきの深さに、陽だまりのような優しい温もりが心に沁みました。地域のまちづくりというのは、皆様の手づくりの美しい行灯のように、火が消えないように念じてただ見守るのではなく、常にろうそくを新しくし、人の手で火を灯し続けることなのだと深く実感しました。

貴会の皆様の高い志、地域を愛する心、力強い行動力に満ちた、意欲的で先進的なまちづくり活動に、改めて心から敬意を表します。 平成7年の高層マンション計画の発表を契機とする、事業主と協働した地域共生型のマンションづくりの取組にはじまり、平成12年には、町衆の誇りと気概が息づく「姉小路界隈式目(平成版)」を策定。そして平成14年には、町家が多く残る美しい町並みを守るため、姉小路界隈地区・松長町地区建築協定を締結。こうした貴会のお取組は、全国的にも高い評価を受けられ、平成17年度の国土交通省の「まちづくり功労賞」に輝かれました。皆様の御活動は、京都の優れた地域力、人間力、文化力、歴史力を全国に示すものであり、京都の誇りであります。

本市におきましても、皆様の御活動を積極的に支援させていただくべく、「姉小路界わい地区街なみ環境整備事業」を採択し、平成16年度からこれまで、8件の京町家等の外観の修理・修景への助成を行って参りました。

また、一昨年9月から実施している新景観政策に基づき、京都らしい歴史的な町並み景観と調和した、職と住が共存する姉小路界隈の景観の保全・再生にも努めております。建物の高さ規制の引き下げや、風情ある町並みとの調和により配慮したデザイン基準の見直しを行ったところであります。

私は、京都がいつまでも京都であり続けるためのこの新景観政策が、真に実りあるものとなるためには、市民の皆様と共に汗する「共汗」によるまちづくりが、何よりも大切であると考えております。そして貴会の皆様の御活動は、私が志す京都の景観まちづくりの、まさに優れたモデルであります。引き続き、皆様と夢や誇り、責任、行動、そして成果を共有しながら、「京都に住んでいて良かった」、「いつまでも姉小路界隈に住み続けたい」と実感していただけるまちを実現して参りたいと存じますので、今後ともよろしくお願い致します。

結びに、姉小路界隈を考える会のますますの御発展を、心からお祈り申し上げます。